だいぶ涼しくなった。電車が停車するたび、呼吸のたび、鼻から新しい季節の空気が送り込まれてくる。時間の経過をさめざめと感じると同時に、去年と、過去と出会いを果たす。
今日からネクタイをしている。実のところ、この新しい空気を、僕はよく知っていた。
文章を書くのが嫌いで、大学では沢山単位を落とした。中学校に入学する前、小学校から電話がかかってきた。卒業文集の作文を提出していなかった。書くべきこととか、いい書き方とか、それだけでなく、暗黙のうちに要求されている事柄が沢山あると感じていた。
今では娯楽として、文章を書くようになった。書けることしか書けない制約が楽しい。