父親の顎に頬ずりをしてた時が人生最良の瞬間だったかもしれない。少し伸びた髭の感触が心地よかった。でも今となってはそんな喜びは想像もできない。あの父の言うことは根拠なしだとわかってしまう。嫌悪感に加えて、自分は父よりもわかっているのだと思え…

複雑な喜びは一つではない。複雑なものは一つではあり得ないから。 生理的嫌悪感と喜びを結びつけることができれば、複雑な喜びを見つけることができるかもしれない。その時、生理的という言葉の意味やタブーについての分析は喜びに寄与する。私の生まれる前…

「自分たちとは違うあの人たち」と「あの人たちと違う自分たち」の話をしていれば大体楽しい。傍観者として、天に召されたかのような気分で眺めることができる。Twitterの広告に表示される漫画を読むのが毎日の楽しさの秘訣。

駅の階段の貼り紙はついつい見てしまう。他人の尻なんて見たくないって理由で、階段の貼り紙は見させられている。

複雑に組み立てられた喜びは貴重でいい。

僕の友達はおそらく、徐々にスピードを上げながらこの世の中が悪くなっているのだと思っている。例えばファミレスの無人サービスのように効率的な無駄が感性の領域を圧迫している。延々と広告を垂れ流す注文用タブレットは率直に不快だ。景気とか人口とかよ…

眠気もひと回りした夜。静かだから部屋のすみずみまで意識が冴え渡る。排気口のせいで少し入り組んだ天井を見ていると興奮も冷めてくる。今の気持ちで旅行に行きたい。 絵でも見ようか。高尚ぶりたい気分で寝ようにも寝られない。